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>>21続き こうしてクミは、10代から70代近くまでといった幅広い年齢層の男性に約6年間、ほぼ毎日、体を触られ続けることになる。 それは後に大きなトラウマとなるには充分過ぎる経験だった。 下校途中に被害に遭ったこともある。50代の既婚者と思わしき男性に、自宅近くまでついてこられた。無視し続けるクミに、男性はこう言った。 「ねぇ、僕を君のパパにしてくれない?」 「ほら、見て、お小遣いあげるよ。ここで、いま良かったら……」 「君がすごく可愛いから……! 君が欲しいんだよ! わかる? 君の中で出したいんだ! 君に、子供を産んで欲しいんだよ! わかる?」 こうした被害に繰り返し遭ったために、クミは自傷行為を始めたり、自殺を試みたりするようになった。幸いクラスメイトに救われたものの、 現在30代半ばになる佐々木は、いまだ電車に乗ることと男性そのものを恐怖に感じることがあるという。 仏メディアが見た「日本の痴漢とストレス社会」 日本では、「痴漢」という言葉に対し、「ちょっと軽く体を触る程度」という認識が一般的である。 しかし、佐々木はその認識こそ危険であると警鐘を鳴らす。 「『痴漢』という言葉は誰もが知っているのに、人によってその定義があまりに違うことで、私は当時、周囲に被害の実態と 自分の苦しみを伝えられず、孤立してしまいました」 「痴漢は、日本人の大部分が思っているほど軽いことではありません。それによって被害者がどれだけ深い傷を負うか、 私はこの本の出版を通じて伝えたいと思いました」 この小説を通じた佐々木の「告発」に、フランスメディアは大きな関心を示し、「日本の痴漢」を取り上げた。 たとえば、カルチャー誌「Les Inrockuptibles」の書評では次のように書かれた。 「日本では多くの男性が学校の制服を着た女子に対して妄想を抱いている。痴漢である彼らは理想的な父親、完璧な職員であったりもするが、 毎日ストレスが多く疲れがたまり、電車内で女性の体に触れることを喜びにする層がいる」 「このような性被害体験を女性が公に話すことは、日本では屈辱的で恥ずかしいこととされている」 また「シャルリー・エブド」は、日本で性暴力被害者が受ける“二次被害”についても触れた。『TCHIKAN』のなかで、クミが家族や警察に痴漢被害 を訴えても、「あなたが不用心だったんじゃないの?」などと冷たい対応を取られているからだ。 以下本文 『TCHIKAN』の著者、佐々木くみ
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